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\begin{document}

\pagestyle{fancy}

\twocolumn[
\leftline{\textsf{\textbf{■ 研究紹介}}}
%\leftline{\textsf{\textbf{■ JAHEP}}}

\title{\LARGE\textsf{\textbf{ライトダークマターを探るSENSEI}}}
\author{{\small Fermi National Accelerator Laboratory}\\
  {\large 上\ 村\ \ 翔}\\
  {\large  \texttt{suemura@fnal.gov}}
  }
%\date{{\small 2019年\ (令和元年)\ 12月25日}}
\date{{\small 2022年\ (令和4年)\ 2月23日}}
\maketitle
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]


\section{はじめに}
10年前の話では，ダークマターの正体を粒子と思えば第一候補はWIMPダークマターだったであろう。
現在では，WIMP以外のダークマター理論が徐々に有力視されている。
WIMP検出実験が大規模化するうち，アクシオンやライトダークマターの探索に興味が増す時代である。

ライトダークマターとは1~GeVより質量の小さいダークマター粒子を指す。
ライトダークマター理論は一般的にダークセクターにもとづく。
つまり，ライトダークマターは標準模型以外のゲージ相互作用（ダークフォトンなど）を感じる。
あるいは，ダークフォトンなどのゲージボソンがダークマター粒子かも知れない。
ライトダークマター粒子は質量が小さいので，数密度が高いであろう。
従って，比較的小規模の検出器でも良い感度が可能である。

WIMP探索は原子核反跳を用いるが，ライトダークマター探索は主にライトダークマターの電子反跳を探す。
その理由はキネマティクスである。
ライトダークマター粒子は原子核と比べて軽いため，原子核へのエネルギー伝達は極めて小さいであろう。
それに比べて，ライトダークマターに近い質量の電子は運動エネルギーを多く受けられる。
多くと言っても，ライトダークマターの電子反跳エネルギーは数eV規模であり，検出器はこの小さい信号を捕えなければならない~\cite{essig2016}。

SENSEI (Sub-Electron-Noise Skipper-CCD Experimental Instrument)の2020年発表におけるライトダークマター探索は，世界最高感度に達している~\cite{sensei2020}。
SENSEIのSkipper-Charge-Coupled-Device (Skipper-CCD)検出器は一つの電子を測定できる電荷分解能を備える上，バックグラウンドとなる暗電流は世界最小である。

%TODO
%は電子反跳を目的とするSkipper-CCD検出器であり，


\section{Skipper-CCD}

\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{dmscatter_picture.jpg}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{CCD検出器の原理。
CCDのシリコンはダークマター粒子の電子反跳エネルギーを電子-ホールペアに変換する。
%内に電子-ホールペアを生成する。
そのホールはバイアス電圧によってCCDの表面のピクセルに引き込まれて，のち読み出される。
}
\label{fig:dmscatter}
\end{figure}

CCDはイメージセンサーとして長らく利用されているが，SLACのSLDバーテックス検出器(VXD)など，素粒子物理学でも活躍の歴史がある。
基本的に，CCDはフォトダイオードの表面の酸化膜上に電極を設け，多数のMOSキャパシタに分割したものである。
これらのMOSキャパシタがピクセルであり，CCD内で生成した電荷はバイアス電圧によりピクセルの電極に引き付けられる。
露光後，電極の電圧の制御によって電荷をピクセルからピクセルへ転送し，増幅器に送り，比例電圧に変えて読み出す。
何万ものピクセルを一つの増幅器で読み出すため，CCDの読み出しは遅い。
しかし，イメージセンサー開発のおかげでCCDでの電荷の収集・転送の効率は優れており，図~\ref{fig:dmscatter}の様に電子反跳検出器として使用すれば高い感度のダークマター探索が可能である。

CCD内に一つの電子-ホールペアを生成するには，最低1.2~eV，平均3.8~eVのエネルギーを必要とする。
したがって，一つの電子を測定できれば1.2~eVのエネルギー閾値が可能である。
（SENSEIのCCDはホールを収集するが，電荷の単位は単純に電子（\e）とする。）
CCDを用いるダークマター探索の始まりはDAMIC実験であった。
DAMICは天体観測用のCCDイメージセンサー技術を使い，10~eV程度のエネルギー閾値でダークマター探索を行った~\cite{damic2020,damic2019}。
このエネルギー閾値は通常のCCD技術の限界に当たる。

\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{ccd_frequency.pdf}

\includegraphics[width=83mm]{SkipperRFN_1.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{CCDの電荷測定とノイズの時間領域と周波数領域でのイラスト。
（上）通常のCCDでは一ピクセルの測定が一度に限られるが，Skipper-CCDでは測定を繰り返し，低周波のノイズの影響を抑える。
（下）CCD増幅器のノイズスペクトル(a)を通常のCCD(b)とSkipper-CCD (c)のスペクトル感度と比べると，
Skipper-CCDの方がノイズの影響が小さい~\cite{skipper2012}。
}
\label{fig:cds}
\end{figure}

通常のCCDでは，電荷の分解能は増幅器のノイズにより2{\e}程度に限られる。
ピクセルの電荷は測定の際に増幅器のトランジスタゲートへ転送され，測定後に廃棄される。
転送前（ゲートが空の状態）と転送後に測定期間があり，各期間内のトランジスタ電流を積分する。
図~\ref{fig:cds}に示す様に転送前の数値をペデスタル，転送後の数値をシグナルと称し，測定値はその差である。
電荷によるシグナルは一定電圧なので，測定値は測定期間に比例する。
対して，ホワイトノイズの積分は測定期間の平方根に比例する。
測定期間$T$を伸ばせば分解能は$1/\sqrt{T}$と向上すると思われるが，測定期間が数十$\mu\mathrm{s}$を超えるとトランジスタのノイズパワーは周波数に反比例する。この現象はピンクノイズ，あるいは$1/f$ノイズと呼ばれる。その結果，測定期間を伸ばすにつれてノイズ値も正比例に増し，分解能は向上しない。

\begin{figure}[htb]
\begin{center}
% \includegraphics[width=83mm]{floating_diff.jpg}
\includegraphics[width=83mm]{outputstage2.pdf}

\vspace{2mm}

\includegraphics[width=83mm]{floating_gate.jpg}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{
% 二種類のCCD増幅器。写真の左側には増幅器のトランジスタ，右側にはCCDの電荷を写真の下から上へ転送するシフトレジスタが見える。
% （上）通常のfloating diffusion増幅器では，矢印の指すメタル配線によりシフトレジスタがトランジスタゲートに直接接続する。
% （下）Skipper-CCDのfloating gate増幅器では，シフトレジスタとfloating gateは容量性カップリング関係にあり，電荷はfloating gateとsumming wellの付近へ交互に転送できる~\cite{skipper2012}。
Skipper-CCDのfloating gate増幅器の等価回路と写真。
% 二種類のCCD増幅器。写真の左側には増幅器のトランジスタ，右側にはCCDの電荷を写真の下から上へ転送するシフトレジスタが見える。
% （上）通常のfloating diffusion増幅器では，矢印の指すメタル配線によりシフトレジスタがトランジスタゲートに直接接続する。
（上）CCD電荷はまずCCDのピクセル部から
serial register (H1, H2, H3), summing well (SW), output gate (OG)の電圧の制御によりfloating gate (FG)へ転送される。
次に電荷をfloating gateとsumming wellへ交互に転送することにより複数の測定を行い，最終的にdrain gate (DG)を通して$\mathrm{V_{drain}}$へ廃棄する。
トランジスタMRはオフなので，FGの電圧，従ってトランジスタM1の電流と出力電圧$\mathrm{V_{video}}$，はCCD電荷との容量性カップリングの影響を受ける~\cite{skipper2017}。
対照的に，通常のCCDで使うfloating diffusion増幅器ではCCD電荷がトランジスタM1のゲートまで直接転送される。
% メタル配線により電荷
% 出力電圧$\mathrm{V_{video}}$は。
% この際トランジスタMRはオフなのでFGの電荷は一定に保たれ，
% トランジスタM1は
% 
% FGは電荷と容量性カップリング関係にあるので，
% ではM1のゲートが）
% $\mathrm{V_{drain}}$へ転送される。
% floating gate (FG)を通り過ぎ
% , drain gate (DG)
% 電荷はCCDのピクセル部からserial register (H1, H2, H3)を通して増幅器のsumming well (SW)まで転送される。
% Skipper-CCDのfloating gate増幅器では，serial registerとfloating gateは容量性カップリング関係にあり，電荷はfloating gateとsumming wellの付近へ交互に転送できる~\cite{skipper2012}。
（下）CCDの表面の電極の写真。左側には増幅器のトランジスタ(M1)，右側にはCCDの電荷をserial registerから$\mathrm{V_{drain}}$へ転送する電極が見える。~\cite{skipper2012}
}
\label{fig:amps}
\end{figure}

Skipper-CCDの増幅器は一つのピクセルの電荷を繰り返し測定することによってノイズを大幅に減らす~\cite{skipper2017,lta2020}。
% Skipper-CCDの増幅器は一つのピクセルの電荷を繰り返し測定できる。
図\ref{fig:amps}に示す様に，Skipper-CCDの場合トランジスタとピクセル電荷の間の直接接続が容量性カップリングに変わる。
このfloating gate構造は通常のfloating diffusionと比べゲインが低いが，電荷のゲートから手前のsumming wellへの逆戻りが可能になり，ペデスタルとシグナルの繰り返し測定ができる。
一つ一つの測定期間は短いので，$1/f$ノイズの影響を逃れ分解能は$1/\sqrt{N}$に比例して向上する。

\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{rms_vs_n.png}
% \includegraphics[width=83mm]{dim_py.pdf}
\includegraphics[width=83mm]{gaussianidad.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{（上）Skipper-CCDの測定数$N$が増すに連れて，ノイズは$1/\sqrt{N}$比例で下がる。4つの増幅器のノイズ値（点）はほぼ同じで，いずれも理想の$1/\sqrt{N}$比例（直線）に近い。
（下）ノイズを0.039{\e}まで下げれば，0{\e}と1{\e}のピクセルの区別がきれいにできる上，ノイズがガウス分布に正確に従うことが確認できる~\cite{lta2020}。
}
\label{fig:peaks}
\end{figure}

SENSEIのSkipper-CCDは基本的にDAMICのCCDの増幅器をSkipperに変えた物である。
図\ref{fig:peaks}で示されるように，SENSEIのSkipper-CCDのノイズはほぼ無制限に下げられる。
読み出し時間は測定数に比例するので，通常はスピードと分解能のバランスを取る。
本探索ではピクセル1つを300回測定し，ノイズは約0.14{\e}である。

Skipper-CCDの電荷分解能がいくら良くても，バックグラウンドが多ければダークマター探索には役立たない。
SENSEIの「プロトタイプ」Skipper-CCDは純度の低いシリコンから製造されており，Shockley-Read-Hall生成\footnote{不純物などの欠陥により熱エネルギーが
電子・ホールペアを生み出す過程~\cite{srh1957}}による暗電流が多い。
その訳で，このプロトタイプで行ったダークマター探索の感度は限られる~\cite{sensei2018,sensei2019}。
それに代わり，2019年製造の「科学グレード」センサーには純度の高いシリコンを使い，2020年発表論文の実験にはこのセンサーを使った。

\section{SENSEI@MINOS}
\begin{figure}[htb]
\begin{center}
%\includegraphics[width=83mm]{module_full_midRes.png}
\includegraphics[width=83mm]{sensei_module.pdf}
\includegraphics[width=83mm]{innerShield.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{（上）Skipper-CCDをpitch adapterとフレックスケーブルに接着し，銅のモジュールに組み込む。
（下）モジュールを鉛のシールドで囲み，真空容器に入れる~\cite{sensei2020}。
}
\label{fig:module}
\end{figure}

2020年に試作機として一つの科学グレードSkipper-CCDをFermilabの地下施設に設置した。
このセンサーの厚さは0.675~cmであり，ピクセル部は9.216~cm$\times$幅1.329~cmの面積，1.926~gの質量を持つ。
15$\times$15~$\mu\mathrm{m}^2$のピクセル5443584個は4つの443$\times$3072のquadrantに分けられていて，quadrantは個々の増幅器により読み出される。
読み出し時間は一ピクセル一回あたり42.825~$\mathrm{\mu s}$で，全てのピクセルを300回ずつ読み出すには合計5.15時間かかる\footnote{実は，一行の443ピクセルを読み出すにはシフトレジスタを470回動かし，470ピクセル分の読み出し時間を費やす。この余分な読み出しはイメージの処理とクロスチェックに役立つ物で，overscanと言う。従ってCCDの読み出し時間は$470\times3072=1443840$ピクセル分に相当する。}。
%470*3072*300*42.825/(60*60*1e6)
%443*3072*300*42.825/(60*60*1e6)

\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=70mm]{MINOS_setup.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{
SENSEI試作機の現場~\cite{sensei2020}。
}
\label{fig:setup}
\end{figure}

センサーは図~\ref{fig:module}のようにモジュールに組み込まれる。
Skipper-CCDの暗電流を下げるためにはモジュールを冷却し，ガンマ線バックグラウンドを下げるためにはシールドで囲み，宇宙線バックグラウンドを下げるためには地下施設で運転する必要がある。

このモジュールを鉛のシールドで囲み，真空容器内に設置する。
CCDのバイアス,制御と読み出しにはSkipper-CCD専用のLow Threshold Acquisition (LTA)ボードを使う。
試作機はSENSEI@MINOSと名付け，FermilabのMINOSトンネル（地下104m）に設置した。
図~\ref{fig:setup}にSENSEI@MINOSの現場を示す。
真空容器の周りには鉛の二次シールド，真空容器の上にはFPGA読み出し回路を取り付けた。中のCCDモジュールはギフォード・マクマホン冷凍機により135Kで保たれる。

用いたデータは2020年の2月25日から3月19日までに収得されたものである。
この間，検出器の運転手順はまずerase操作\footnote{バイアス電圧の一時的な調整によって暗電流を下げる操作~\cite{ccd2003}}，それから20時間の露光，続いて5.15時間の読み出し\footnote{読み出し時間の間に発生するヒットは露光時間の間に発生するヒットに加わるので，ピクセル当たりの露光時間は20時間（最初に読み出されるピクセル）から25.15時間（最後に読み出されるピクセル）の範囲に渡る}の繰り返しであり，合わせて22枚のイメージを収得した。
Blind解析を行うために，別に取得した7枚のイメージをcommissioningデータと扱い，解析の開発にはこのcommissioningデータのみを使った。

イメージの例を図~\ref{fig:image}に示す。
宇宙線のミューオンは直線的な飛跡，ガンマ線による電離電子はmultiple scatteringによる曲線的な飛跡を残す。
飛跡の幅は電荷の拡散に起因し，CCDの表面からの距離を表す。
読み出し中にCCDの周囲に飛跡が当たると，serial register hitと呼ばれる線ができる。

\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{ds9_skp_72000secs_exp_run10_NSAMP_300_36_hdu2_annotated.png}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{
イメージの一部（およそ450$\times$450ピクセル）。
ミューオン飛跡，電子飛跡，serial register hitが見分けられる。
広く散らばった点は1{\e}ピクセルである。
}
\label{fig:image}
\end{figure}

\section{解析}
本解析はイベントの電荷により1{\e}，2{\e}，3・4{\e}解析に別れる。
1{\e}と2{\e}解析では孤立した1ピクセルのヒットを扱う。
1{\e}解析ではこの電荷が1{\e}のものを，2{\e}解析ではこの電荷が2{\e}のものを解析する。
3・4{\e}解析は隣接したピクセルのクラスターの電荷をイベントと数える。

CCDの四つのquadrantのうち，一つは欠陥により動作不能で，一つは真空容器の外部からの黒体放射フォトンのバックグラウンドが多い。
1{\e}と2{\e}解析には性能のよい二つのquadrant（exposure 19.93~g-day）を使い，3・4{\e}解析にはバックグラウンドの多いquadrantの一部を追加した（exposure合計27.82~g-day）。

イベントセレクションは解析によりちがい，従ってセレクション効率も違う。
SENSEIのバックグラウンドイベントの大多数は1{\e}イベント，あるいは1{\e}イベントのコインシデンスで成り立つ2{\e}イベントである。
従って，バックグラウンドの多い1{\e}解析には比較的厳しいイベントセレクションを用い，バックグラウンドの少ない2・3・4{\e}解析には比較的緩いイベントセレクションを用いる。
1{\e}解析のセレクション効率は6.9\%，2・3・4{\e}解析のセレクション効率は45\%程度である。
2・3・4{\e}解析の検出効率にはセレクション効率のほか，電荷拡散による拡散効率（\ref{sec:diffusion}~節）が加わる。

本稿では解析の重要なポイントを紹介する。
イベントセレクションの詳細に興味のある方は\cite{sensei2020}を参照されたい。

% 1{\e}解析には

% 詳しく
% 参考
% 主なセレクションを述べる。
% \subsection{データセレクション}
\subsection{露光不変電荷}
\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{SC_fixed.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{1{\e}イベント密度（ピクセルの中で，1{\e}ピクセルが占める割合）と読み出し時間の線形回帰~\cite{sensei2020}。
これは露光なしのデータで，この1{\e}イベント密度は露光不変電荷と読み出し時間中に蓄積した暗電流の和であり，このグラフの$y$切片は露光不変電荷に当たる。
}
\label{fig:expindep}
\end{figure}

イベントセレクション後の1{\e}イベント数（つまり，電荷）と露光時間の関係を一次関数で表せば，二種類の起源が見分けられる~\cite{sensei1e2022}。
まず，露光時間に比例する電荷はまとめて暗電流と指す。
ダークマターによる1{\e}イベントは暗電流の一部となるであろう。
それに対し，露光時間をゼロに下げても残る電荷は露光不変電荷(exposure-independent charge)と名付ける。
露光不変電荷は一般的に読み出しの際に発生する電荷であり，主な原因は電圧の切り替えによるspurious chargeである。
図~\ref{fig:expindep}に露光不変電荷の測定を示す。

\subsection{ハローと暗電流}
\label{sec:halo}
\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{Halo.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{100~{\e}以上のピクセルからhalo radius以上の距離に在るピクセルの1{\e}と2{\e}イベントレートを示す~\cite{sensei2020}。
高エネルギーピクセルから遠ざかるに連れてイベントレートが下がる。
1{\e}解析では60ピクセルのhalo radius，2・3・4{\e}解析では20ピクセルのhalo radiusを使う。
}
\label{fig:halo}
\end{figure}

% 高エネルギーピクセルの周辺区域
% 「ハロー」

1{\e}と2{\e}イベントは飛跡の周辺に集中する。
この現象は「ハロー」と言い，理由にはチェレンコフ放射と放射再結合による低エネルギーフォトンが提案されている~\cite{du_sources_2022}。
従って，イベントセレクションは高エネルギーピクセル（電荷が100~{\e}を超えるピクセル）からhalo radius以内の距離にあるピクセルを省く。
図~\ref{fig:halo}にこのハローカットの効果を示す。
% ように，このハロー区域を取り除く1{\e}と2{\e}イベントレート
% の周りの「ハロー」を省く。

\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{dc.png}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{
SENSEIの科学グレードCCDの温度による暗電流の変化~\cite{sensei2020}。
実線はerase前の暗電流へのShockley-Read-Hall理論フィットの結果。
破線は160Kの測定からerase後の暗電流の外挿である。
2020年発表のDM探索結果（135Kの点）はこの外挿を大きく上回る。
}
\label{fig:DC_vs_T}
\end{figure}

SENSEIの測定する暗電流はShockley-Read-Hall理論による見積りを大幅に上回る（図~\ref{fig:DC_vs_T}）。
真空容器の周りの二次シールドを取り付けた前と後のデータを比べると，暗電流は高エネルギーイベントのバックグラウンドに比例する様子を見せる。
これはハローカットをかけた後なので，ハロー外のピクセルも高エネルギー飛跡の影響を受けていると推理でき，シールドを向上するに連れて暗電流は下がると期待できる。

\subsection{拡散}
\label{sec:diffusion}
\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{all_depth_diffusion_measuements_2.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{
ミューオン飛跡の幅と深さの相関をヒストグラムに示す~\cite{sensei2020}。
拡散のモデル（線）はこのヒストグラムにフィットしたものである。
図の左でのモデルとヒストグラムの差の原因はピクセルによる量子化である。
}
\label{fig:diffusion}
\end{figure}

2・3・4{\e}解析の場合，CCD内に発生するイベントレートと解析により測定するイベントレートは違う。
2{\e}の電荷が発生し1ピクセル事象として検出される，あるいは3・4{\e}の電荷がまとまったクラスターとして検出される確率は拡散効率で表す。
この拡散は電荷がCCDの表面までドリフトする間の過程であり，無論イベントの深さによる。
ミューオン飛跡は直線なので深さが正確にわかり，ミューオン飛跡の広い端をCCDの裏面，狭い端をCCDの表面と取れば
飛跡の幅を使い拡散を測定できる（図~\ref{fig:diffusion}）。

\section{結果}

\begin{figure}[htb]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{spectrum.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{1{\e}，2{\e}解析によるピクセル電荷スペクトル~\cite{sensei2020}。
1{\e}解析の方がcutが厳しいのでイベントが少ない。
1{\e}レートの測定にはガウス分布へのフィットを用いる。
% 2{\e}解析のスペクトルには2{\e}ピクセルが5つ見える。
}
\label{fig:spectrum}
\end{figure}

\begin{figure*}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{SENSEI_MINOS2020_FDM1-Paper.pdf}
\includegraphics[width=83mm]{SENSEI_MINOS2020_FDMq2-Paper.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{ライトダークマターの電子反跳に対する90\% confidence levelの制限~\cite{sensei2020}。
$m_{A'} \gg m_{e^-}$（contact interaction，左図）と$m_{A'} \ll m_{e^-}$(long-range interaction，右図)の例を示す。
熱的残存量による目標感度は図の下部(benchmark models, freeze-in)に表す。
}
\label{fig:fdm1}
\end{figure*}

\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
%\includegraphics[width=83mm]{SENSEI_MINOS2020_Migdal_FDMq2-Paper.pdf}
\includegraphics[width=83mm]{absorption_rho03_3pt8_v4.pdf}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{ボゾン性ライトダークマターの吸収に対する90\% confidence levelの制限~\cite{sensei2020}。
吸収されたダークマターの質量は全てイベントエネルギーに変換されるので，この図では1・2・3・4{\e}のエネルギー閾値にステップが現れる。
}
\label{fig:absorption}
\end{figure}

% イベントセレクション後のピクセル電荷スペクトルは図~\ref{fig:spectrum}に示す。
% （3・4{\e}解析のクラスター電荷スペクトルは図に示さないが，3・4{\e}のクラスターはない。）
イベントセレクション後のピクセル電荷スペクトルを図~\ref{fig:spectrum}に示す。
3{\e}，4{\e}の解析では，クラスターは検出されず，バックグラウンドフリーの解析を行った。
この科学グレードCCDセンサーの暗電流は$(1.594 \pm 0.160)\times 10^{-4}$\e/pix/dayで，以前のプロトタイプセンサーと比べておよそ20分の1である。
同様に，2{\e}解析のtotal exposureが2019年に比べ50倍に増えたにもかかわらず2{\e}イベント数は21から5に下がり，2019年に見なかった3・4{\e}イベントは今回もバックグラウンドフリーである。
従って，イベントレートに与えられる制限もやはり大幅に向上する。
エネルギー検出閾値の面では，シリコンのバンドギャップ（1.2~eV）からおよそ10~eVまでの範囲に渡って世界一の制限である。

この結果によるライトダークマターに対する制限を図~\ref{fig:fdm1}と図~\ref{fig:absorption}に示す。
電子反跳の断面積のmomentum transfer dependenceはDM form factor $F_{DM}$と表し反跳を媒介するボース粒子の質量$m_{A'}$による。
従って電子反跳の断面積は$F_{DM}$と結合定数などによる平均断面積$\bar{\sigma}_e$の積と表し，電子反跳に対する制限は$m_{A'}$の大きい例と小さい例に分かれる。
低いエネルギー閾値と低いバックグラウンドを合わせることにより，SENSEIのライトダークマター感度は世界をリードする。

\section{展望}
今回の結果はSkipper-CCDの将来性を証明することになる。
現代技術にはこのエネルギー閾値とバックグラウンドに勝るものはない。
今後の目的は大規模化とバックグラウンド削減である。
CCDの標的質量を増やしながら，実験をバックグラウンドフリーに維持する見込みである。

\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
\includegraphics[width=83mm]{sensei_snolab.jpeg}
\end{center}
\vspace{-5mm}
\caption{SENSEI@SNOLABのシールド設置前の様子。
}
\label{fig:snolab}
\end{figure}

第一歩はSENSEIのフルスケール設備，SENSEI@SNOLABである。
この検出器にCCDを48枚まで装備することにより標的質量を100グラム程度に増加し，銅・鉛・水のシールドによりガンマ線バックグラウンドを大幅に削減できる。
地下2100mに位置するカナダのSNOLAB研究所に設置することにより，宇宙線によるバックグラウンドもほとんど排除できる。
\ref{sec:halo}~節に述べたように，高エネルギーバックグラウンドの削減により暗電流も削減できると見込んでいる。
SENSEI@SNOLABは2021年に試運転を開始し，今年中に初の実験成果を上げる計画である。

続いて次世代実験はDAMIC-Mである。
DAMIC-Mはモダン地下研究所にCCDを1kg装備する計画で，今試作機の構築が進んでいる。
SENSEIと比べての大進歩は放射性バックグラウンドの削減であり，フレックスケーブルに含まれる放射性物質などの制御をより厳しく行う。

まだ先には10kgスケールのOSCURAプロジェクトの夢が見える~\cite{oscura}。
この膨大な規模のCCD検出器を構築する前には様々の点でR\&Dを必要とする。
宇宙線によるCCD内のトリチウム発生の削減又は除去，液体窒素を用いたCCDの液浸冷却，読み出し回路のマルチプレックス，などなど多数の技術の開発が進んでいる。

ここ数年にかけて，Skipper-CCDの発達は素早いものである。
今後も成功が続くことを望み，ダークマターの謎に近づけると期待する。

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